企業と人の最適なマッチングを
現在、人材エージェント会社Create Aで、数多くの求職者と面談し、人生の大きな意思決定を支援する三島一仁さん。
自分自身の間違った転職経験により、「企業と人の最適なマッチング」に課題を感じ、未経験の職種に飛び込んだ経験があります。
彼の紆余曲折あったキャリアについて、そこから感じたキャリア論、
そして、未経験領域にチャレンジする楽しさを語ってもらいました。
20代はいくらでも挑戦できる年代
一歩踏み出したいけど勇気が出ない、そんな若手社会人の方に是非読んでいただきたいインタビューです。
前職
職種:
大手メーカー 営業職
内容:
新卒で入社した商社から大手メーカーに転職。
大手メーカーや商社に対し、スナック菓子の袋やゼリーの蓋材などの包装用プラスチックフィルムの提案・販売や、工場との生産スケジュール調整を行う
転職の軸
- 前職で、自身が培ってきた営業スタイルを否定されたこと
- 1度目の転職で気づいた、会社と人のマッチングの重要性と社会課題への意識
- 「人がより楽しく生きていくためにはどうすればいいのか」という人生かけてのテーマへの挑戦
現職
職種:
CreateA合同会社 キャリアコンサルタント/リクルーティングアドバイザー
内容:
キャリアコンサルタントとして求職者と面談する一方、
リクルーティングアドバイザーとして企業の中途採用課題の解決にも取り組む。
今まで約50名の求職者の転職意思決定に関わり、約200社の企業を担当中。
自分自身の間違った転職経験をもとに、エージェントになった
Q.三島さんは、1社目で商社の営業マンとしてキャリアをスタートされたとお聞きしています。転職エージェントになるまでの経緯を教えてください。
おっしゃる通り、新卒で商社に入社し、営業をしていました。
地道に営業活動をしていくうちに、3年目から会社の半分の売り上げを自分で持つようになったんです。
その会社は「何でも好きなようにやって良いよ」という会社だったので、どうすればお客さんのニーズに応えられるか、考え方もやり方も本当に自由な環境でとても楽しかったのを覚えています。
結局商社には5年居て、その後メーカーからヘッドハンティングを受けました。
その提示条件が年収150万アップみたいな好条件で、しかも業界も近かったので経験も活かせるし成果も上げられるだろうと思い転職したんですが、そのメーカーがものすごく古い体質の会社だったんです。
めちゃめちゃ年功序列だし、上長が言った通りのことをやらなければならない。
自分の営業スタイルは顧客と長期的な関係性を築くことを前提にした、息の長い提案の仕方だったのですが、その会社は目先の売り上げのみを追う会社でした。
自分が商社でやっていた営業パターンや売り上げをあげるアクションを否定され、前職のように甚だしい成果を上げることもできず、自分は何をやっているのだろうという感覚に陥っていたのです。
1社目が自分に偶然当てはまったから成果を上げられたのであって、本来自分はできる人間ではないのではないか、ということも頭によぎりました。
Q.なるほど。そこからどのようなアクションを取られたのですか?
自己分析から冷静に自分の将来を考えたいと思ったのですが、仕事が忙しく中々時間が取れなかったのでまずはその会社を退職しました。
内省を深めていると、2社目で活躍できなかったのは、自分の能力の問題だけではないのでは?ということに気づいたのです。
単純に、2社目の企業と自分の間のミスマッチが起きていたんだと。
そこから担当のエージェントの方にお力になって頂きながら自己分析を深めました。
そのエージェントが学生時代から掘り下げて一緒に考えてくれる方で、自分の過去のこんな経験が、今のこんな志向に紐づいているんだと気づき、自分が何にやりがいを感じるかが分かったんです。
Q.自分自身の転職の苦い経験が、エージェントという職業に結びついたんですね。
人には、自分が輝ける場所と輝けない場所がある。
会社の社風や求められる働き方によって自分の成長や働き甲斐を感じられる人とそうでない人がいるというのが自分の中でかなり衝撃でした。
優秀な人はどこに行っても成果を出せるし、優秀じゃない人はどこに行っても秀でた成果は出せないものだと思っていたけど、実態は全然違うなと思ったんです。
できるかどうかではなく、やりたいかどうかで選んだ
Q.2社目への転職で失敗している中、未経験の「エージェント業」に転職を決めるのには迷いや葛藤も多かったのでは?
確かに、その時の自分のキャリアにおいて、一番簡単な選択肢は今まで経験して来た営業職でした。
企業と人のマッチング、そして「人がより楽しく生きていくためにはどうすればいいのか」という、自分が一番興味のあるテーマに向かっていけるような職種を探すのか、メーカーや商社の営業職という今までの延長線上のキャリアを歩むのか、という中で、本当に迷いました。
前者を選ぶことは、当時は知識も経験もない状態だったので、ものすごく不安でしたね。選択肢を考えた時に、自分が一番やりたい、社会に貢献したい選択肢で転職した方がいいのかな、と思って、だからエージェントに転職しました。
Q.その葛藤の中、どうやって意思決定されたのですか?
現職(CreateA)から内定が出たタイミングで副代表とお話する機会がありました。
その時はまだ迷っていたので「自分のやりたいことは明確なんですけど、実際に自分にできるのか不安です。」と正直な気持ちをぶつけてみたんです。
そしたら、「今できるかできないかではなく、やりたいかやりたくないかで選んだ方が良いよ。」「やりたいことなら人は努力するし、努力すればできるようになる。」と言われて。
振り返ってみると、最初に就職した時は営業未経験だったし何もできない状態でしたけど、そこでやりたいことがあって楽しく働いていた結果、営業マンとして高成績を出せるようになったことを思い出しました。
当たり前ですけど、社会人になったばかりの頃ってみんな未経験だし何もできないじゃないですか?
だからこそ重要なのはできることよりもやりたいことなんだなと納得しました。
結果として「やりたい」というモチベーションを大事にした自分の選択は今でも間違っていなかったと思っていて、そこが今イキイキ働けている原動力だと思っています。
求職者のポテンシャルをいかに深掘りするか
Q.人材エージェントはすごく独特な職種だと思います。企業側もユーザー側も接点をもって、マッチングする中で、何が一番難しいですか?
どんな転職でもその人の経歴になるので、一回の転職だとしても人生への影響度は非常に大きい。成功すれば自分の理想のキャリアに近づく一方で、失敗してしまったら理想とは程遠いキャリアを歩んでしまう危険性も非常に高い。
そういう意味では、人の人生を左右する大きな選択に携わる事の意味の大きさは日々感じながら働いています。
相談者が理想のキャリアを歩む上で、僕の介在価値はその人のことをその人以上に理解し、その人の考え方や長所、短所、全部ひっくるめて企業とマッチングすることなんですけど、それが一番難しい。
でもだからこそ、僕に相談してくれた方が「転職して本当に楽しいです!」とか企業から「三島さん紹介の●●さん、会社でめちゃめちゃ活躍してますよ!」と言われた時はとても嬉しいし、この仕事をしていて良かったと思いますね。
Q.三島さんのように、未経験から異業種に転職したいという方もいらっしゃるかと思いますが、未経験という不利な状態をどうカバーしていますか?
企業の採用担当者から見た時に未経験者、それこそ業界も職種も違うと、その人が自社で活躍できるかどうか見極めるのってハードル高いんです。
だからその人がどんな部分でその会社にマッチしていて、その人の能力が応募職種のどんなところに活かせるかを具体的に伝えます。
あとは逆に不足している部分もしっかり伝えるようにしていますね。
でも表現はネガティブではなくて、ポジティブに。
求職者のポテンシャルをいかに適切に伝えるかが重要だと思っています。
Q.ポテンシャルを求職者の方から感じるために、面談で重要にしている事は何ですか?面談内でどういう風に深堀していくのですか?
大事にしている観点は大きく分けて二つあります。
①その人の長所
②その人の行動原則はどういう価値基準からきているのか。
①を自覚している人、案外少ないんです。
自分にできることって、その人にとっては普通で、できて当たり前だと思っているので。
例えば、旅行の予定組むのが得意な人っていますよね。本人は「なんでみんなやらないんだろう」って思ってるけど、実際はやらないんじゃなくてできない。
予定組むのって情報収集力やタスク管理能力が必要で、その人は他の人よりもその能力が高いし、得意だからできる。
こうゆう「なんで周りはやらないんだろう」が実は長所だったりするんですけど、意外と自分じゃ気付かない。
だから、普段の行動から「なんでやってるの?」を問うことでその人の長所を深掘るようにしています。
「なぜやっているのか?」Whyの深掘りで見えるその人の価値基準
Q.なるほど。②の方はどうですか?
「人がやりたい」と思っている事は、価値基準に結びついています。
例えば、優秀な成績を残している営業マンでも、話してみると仕事に対する目的は人それぞれ異なっていたりします。
その目的が「顧客への価値提供」だったり「自己成長」だったり。「とにかくお金を稼ぎたい」みたいな人もいますね。
つまり、「なぜやっているか」これが各人の価値基準であり、それがモチベーションに繋がっていると思います。
Q.「なぜ?」と聞くと、抽象度が高くなっていくと思います。つまり、皆が思うような一般的な答え(例えば、「楽しいからやっている」とか)に近づいて行くと思うんですが、どう引き出していくんですか?
前提として、楽しいとか嬉しいとか、ポジティブな感情を持つ行動こそ、その人のやりたいことだと思うんです。
だから「なぜ?」という質問から感情的な表現を引き出すのは重要で、そこからは「何が?」を具体的に深掘っていきますね。
例えば営業マンの方に「なぜ優秀な成績を出せるんですか?」と質問して「営業という仕事が楽しいから」という答えが返ってきたとします。
この「楽しい」という感情が表に出た段階で「何が?」の質問をしていくんです。
営業をしてて一番楽しかったエピソードを聞いてみたり、正面から「営業の何が楽しいんですか?」と聞いてみる。
この「何」が具体的になればなるほど、その人の楽しいと感じることがピンポイントになっていきます。
「営業という仕事を通して、目の前のお客さんの課題を的確に捉え、限られた条件の中で最善の方法を導き出し価値提供することが楽しい」くらいまで具体的になれば、あとそれを最もできる環境(企業)をご紹介して、入社に至るまで書類の添削から面接対策などしっかりサポートさせて頂くような流れですね。
前編は三島さんの転職経緯とお仕事の話についてお聞きしました。
次回の記事では、キャリアの専門家だからこその視点にもさらに迫りつつ仕事に熱を注ぐ三島さんに迫ります。
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